第116回:45センチ x 22センチ x 33センチの住処

わかこま第二保育園 山田隆一
イラスト:金魚

当園は平成30年4月に設立、その約5か月後に保護者会が立ち上がり、翌春の卒園児は一人のみであったが、保護者会から卒園記念品として、金魚の水槽セット一式を頂いた。

これをきっかけに6匹購入して、金魚の育児がスタートした。2匹づつ3種類の小さな金魚から始めたが、数が月で尾ぐされ病や、白点病にかかり、いつの間にか全滅。これが金魚の育て方をもっと知ろうと調べる機会になった。金魚は種類が違うと一つの水槽で一緒に生活するのは難しい。金魚の販売店からアドバイスも受けた。

見栄えはいろんな種類がいれば楽しめることではあるが、金魚の習性から、落ち着いて生きられるよう、仲間割れのないように、最も安価で無難に育てやすい小赤の一種類だけに、当時一匹95円。

それから4年半、購入時のサイズは大きいので約6センチ程度だったが、今では最も大きくなったのが約13センチにも成長、毎朝、餌を与える時間帯に、水槽の前に行くと、水面に口をパクパク大きく開けて集まってくる。「早く、早く、腹減ったよ」と聞こえてくるようだ。子ども達は、降園時に、父母や祖父母に抱っこされながら、玄関の棚上に設置している水槽に指を向け「キンギョ、キンギョ」と毎日のように金魚を見て帰っている。生き物に対する興味は絶えないだろう。

一年ほど前に、遊び心から、金魚水槽のガラス面に、百均でみつけた「海の生き物」小シールを貼り付けてみた。それに気づいた子ども達から、「これは?、これは?」と聞かれ、会話が拡がっていく。「カニ、イカだよ、タコだ、サメだ、イルカだよ、クジラだよ…………」。さりげない遊び心と思い付きから、金魚の水槽が子どもたちにとっては、ミニ水族館の世界へと拡がっていく。そして海の生き物図鑑にも。金魚とともに、海の生き物に対する興味を抱くことで、子ども達の知識と健やかな成長につながればと思っている。ちなみに表題の45×22×33は、水槽のサイズを表している。