第115回:おおきなおうち ちいさなほいくえん

みつば保育園 園長 齊藤由紀子
イラスト:園児と保育士

みつば保育園は40名定員のちいさな保育園です。元々市長公舎だった場所に保育施設として開園したのは平成22年です。園舎に入ると「新しいにおいがするね!」と言われていたのがついこの間のように感じます。月日の経つのはあっという間です。開園当初から『おおきなおうち ちいさなほいくえん』というキャッチフレーズを掲げ、姉妹園のこばと保育園と同じように『子育てはあたたかくゆっくりと』ということを大事にしています。

私が保育士になって務めた時からのなじみの言葉ではありますが、近年は世の中がハイスピードすぎてついていけておらず、そんな中であたたかくゆっくりとした気持ちになれているだろうかという思いに悩ましい日々です。

あらためて振り返りながら、でも前を見ながら、自分が大事にしていきたいことはどんなことかなと考えてみました。自分が保育士として現場で働いていた時に先輩から教えていただいたことはずっと心にあります。子どものつぶやきを聴くこと。そこから、「この子はこんなことが好きなんだな」と感じること。「この子の好きなことが他の子もまきこんでもっと楽しいになるかも」とワクワクすること。まずは自分が楽しむ気持ちをもつこと。いつまでもその心は忘れないでいたいです。

みつば保育園の良いところは、こじんまりとしていて子どもも職員もみんながみんなの顔を知っている家族みたいなところだと思います。ちいさな保育園の中で、おおきい子どもは自分よりちいさい子どもをかわいがり、ちいさい子どもはおおきい子どもの姿を見て真似っこしたり遊んでもらったりしています。それが自然とできています。保護者に参加してもらう行事はそんな姿をみてもらう格好の場だったのですが、コロナ禍でここ何年も制限しながらやってきたので全園児と保護者が参加して一緒に楽しむ行事については最近は叶いませんでした。でも、来年あたりからはみつばらしい行事にもどせるかな、やっていきたいなと思っているところです。

実際の私の日々は未だに慣れない事務作業や様々な対応に追われ、事務室で難しい顔をしていることが多いです…。本当は、子どもたちと歌ったり踊ったりやりとりしたりが大好きです。ちょっとしたあそびタイムの『みつば劇場』を勝手ながらやった時期もありましたが、なかなか実務に追われすぎて最近は出来ずじまいです。子どもたちとワハハと笑い合う時間も作っていきたいな…。これからも、子どもたちからワクワクをわけてもらい、自分自身があたたかくゆっくりとした気持ちで子育ての支えができるようにしていけたらいいなと思います。