第138回:亡き母に思いを寄せて・・・

ナーサリー小鳥の木 千葉純子
イラスト:花束を手に持って嬉しそうな笑顔のおばあちゃん

夕暮れ時、ふと見上げた夜空に神々しく輝く満月を見上げていたら・・満月の夜に亡くなった母への思いが溢れてきた。

今年の夏は厳しい暑さや大雨による冠水・洪水など異常気象もあってか、日本各地で多くの人が様々な思いを巡らせた。本園でも、子ども達との生活の中で猛暑や熱中症対策・熊対策など、これまでにはない対応に追われた夏となった。そんな日々の中、個人的ではあるが、母が亡くなったことも私にとって最大の出来事であった。母の死を通してたくさんの様々な思いを味わった。その一端に想いを巡らせてみたい。

7月の暑い日、危篤状態から10日間も頑張り続けた母がとうとう力尽きて天国へと旅立った。何事にも前向きで気丈だった母。誰よりも私の理解者だった母には友人のように何でも話を聞いてもらった。そんな母は病床に伏したときでさえ、人生の最後のあり方を私に教えてくれた。母は心身ともに元気いっぱいで健康であったのだが、父の死後1年後に心筋梗塞のため要介護5となってしまい施設での生活を余儀なくされた。それでも愚痴を言わず、お世話をしてくれる介護士さんに「いつもありがとう」と常に感謝の言葉を伝えていたと伺った。母は本当に優しく芯の強い人であった・・と改めて感じている。毎朝、母の遺影をみると今でも笑顔で語りかけてくれそうで、いまだに実感が沸かない。母にもっと沢山の「ありがとう」を伝えたかった・・と多少の後悔の念はあるものの、両親との家族旅行等、数々の思い出を振り返ると様々な想いが溢れてくると同時に、少しは親孝行ができ共に歩んできたという充実感のような思いもある。最後はたくさんの大好きな花や趣味の作品に囲まれてしっかりと母を送り出してあげることができた・・と何かしらの満足感もある。こんな思いにさせてくれたのも母が人生の最後の在り方を示してくれたおかげなのかもしれない。

母が亡くなって間もなく4か月。母の死は私に大切なことを気づかせてくれた。今後の人生を悔いなく生きる勇気をもらい、今、目の前にある大好きな保育の仕事に前向きに楽しんで向かおうという思いを強くさせてくれた。日々成長している感性豊かな子ども達との生活をより充実した豊かなものにしたいとまだまだやりたいことや挑戦したいことが頭にうかんできた。限りある時間を大切に、子ども達とのより充実した日々を送ることができたなら・・母に報告しよう。その後の私の楽しんだ人生を・・・。
母はきっとまだまだ未熟な私をこれからも天国で見守っていてくれるだろう。