第92回:意味づけること

秋田認定こども園 園長 田口徹
イラスト:ベンチで読書をする男性

休日にぼんやりと週刊誌を眺めていたら「ツチヤの口車」というコラムが目に入った。これがきっかけで文庫本を数冊購入し、ハマってしまった。「初めて読む人は、どこまで本気なのだろうと戸惑う。そのうち冗談の中にいくばくかの真実が潜むのではないかと探すようになり、やがてすべてが冗談だという不都合な真実に気づく。そこから本気で楽しめる人だけがファンになる。」と感想を述べる人がいる。そうかと思えば、毒にも薬にもならない本として推薦された著作の一つが昨年の本屋大賞「超発掘本」を受賞したという。

別の著書の中には、コロナ禍で外出自粛要請中、パチンコ店や居酒屋に群がる中高年層のインタビューに答える言葉に痛烈なパンチを浴びせている。「自粛じゃなくて行くなと言ってくれたら行かない。」には、誰かに判断してもらい、都合の悪い結果が出たら批判する了見で、責任回避であり、自分で全責任を取る動物を見習えないか、と手厳しい。さらに「俺が行かないと店(居酒屋)がつぶれる。」には、それほど親切なら私の本を買ってほしい、と皮肉る。コロナ禍の重苦しい空気を一刀両断する快刀乱麻の爽快感が味わえる。と別の人は感心する。

何か気持ちがモヤモヤしたときでもこれらを読むと、憂さが晴れ、サッパリとした気分になる。また非日常が日常になってしまった昨今、何か行動する際にはどうしてそうするのか、それをしたらどうなるのかと一つひとつに意味づけをする習慣をつけることが大事だと改めて思った。

因みに、「妻から哲学」という新刊が発行されビール片手に一気読みをしたら痛快だった。皆さんもご一読いかがでしょうか。