第113回:無くてもいいけどあったらいいもの

川添保育所 所長 佐藤麗子
写真:紫蘇ジュース

3月までは早番から遅番まで何通りもある当番を当たり前のようにこなし、毎日勤務時間が違う生活を何十年も送ってきたが、春からは週休2日になり、毎日同じ時間に出勤している。そういえば若かりし頃、17時に退勤するOL(今もこのように呼ぶのだろうか)に憧れたことがあったが、いざなってみると、仕事終わりにお酒を飲みに繰り出すこともなく、習い事をするわけでもなく・・・気付けば3か月が経過していた。

施設長という重責に絶えることのない緊張感を感じながらも、そんな生活に慣れてきた初夏、人生初の挑戦をした。紫蘇ジュースと梅シロップ作りだ。SNSで人気の簡単レシピを見つけ、即実行。どうせなら、絶対に美味しく作りたい!そのためには準備が大事だ。こういう時の面倒くさがりな自分の取説は、「完結するまで一気にできるように材料をそろえ、時間を空けない」である。土曜日の朝から作業をして昼には終了、味見したのが日曜日だった。梅酒と違って、短時間で成果を確認できるのも、せっかちな私には向いている。氷砂糖たっぷりの紫蘇ジュースは、レシピより1.5倍多くレモン汁を入れ、酸味の効いた爽やかジュースになった。はちみつたっぷりの梅シロップは、つめたく冷えた緑茶のお共に必ず欲しい甘味として、この夏の私の癒しとなっている。

子育て真っ最中の頃は忙しくて、できるだけ「余計なこと」はしないようにしてきたが、今は「無くてもいいけれどあったら心が豊かになりそう」なことを楽しめたらいいなと思っている。お休みしていた読書も少しずつ再開した。今まさに子育てと仕事の両立に奮闘している職員や保護者の姿を見ると、私のようにささやかながらも自分の時間をもてる日が来るからね、もう少しの間頑張ってねと、心の中で声援を送っている。そして帰宅後は、今度は梅酒を作りたいなと、昔友人からもらった梅酒の空瓶を台所の棚から出したりしまったりしながら、梅が無くならないうちにやる気が出るのを待っている。